石の磨き方をご紹介します。
石なんて磨かねーよ、と思われるかもしれませんが、やってみると意外と楽しいです。
自分で拾って、自分で磨くと、ものすごく愛着が湧きます。
商業的な価値は皆無かもしれませんが、自分にとっては唯一無二の宝物になります。
どんな石でも、磨くとある程度綺麗にはなりますが、宝石のように輝く石と、どんなに磨いても輝かない石があります。
これは、石の構造上の問題です。
微細な空洞の多い石は光りません。
図にするとわかりやすいです。
青い部分が石の断面で、上辺が石の表面です。
光らない石でも、艶消しのような仕上がりになり、それはそれで魅力的ですが、どうせなら光る石を磨いた方が楽しいです。
石英系の石ならだいたい光ります。
慣れてくると、光りそうな石はある程度見分けられるようになりますが、実際に磨いてみないとわからない物が多いです。
ダメ元で磨いてみると化ける石もあって、それも石磨きの楽しさのひとつです。
ちなみに、ニスなどの薬品でコーティングすればどんな石でも光りますが、これは石に対する冒とくです。←あくまで個人的見解
今回は、玉川のメノウを磨いてみます。
中央のヒビが赤く着色されており、玉川メノウの生成過程が垣間見える面白い石です。
フチの赤色は磨くと消えそうなので、磨かずに残します。
最初に写真撮り忘れたので、既にだいぶ削ってしまっています・・・
元々は表面はザラザラで白っぽい石でした。
それでは実際に磨いていきます。
- STEP1:砥石で整形する
- STEP2:砥石で大きなキズを消す
- STEP3:150番の耐水紙やすりで磨く
- STEP4:400番の紙やすりで磨く
- STEP5:1000番の紙やすりで磨く
- STEP6:粗目の研磨剤で磨く
- STEP7:セリウムで磨く
STEP1:砥石で整形する
水に濡らしながら荒い砥石で削って形を整えます。
砥石の荒さは50番~150番くらいのものがいいです。
間違っても、包丁を研ぐ砥石は使わないでください。以後、包丁が研げなくなります。
100均でも売っているダイヤモンドヤスリを使う手もあります。
整形するのが面倒な場合は、海岸などで整形する必要のない丸い石を拾ってくるのがお勧めです。
STEP2:砥石で大きなキズを消す
整形に使った砥石で、大きな傷を磨いて消していきます。
力を入れずに円を描くように高速でこするのがコツです。
仕上がりの確認は、石を乾かした状態で懐中電灯を斜めから当てます。
キズは白く光ります。
大きなキズが残っていない事を丁寧に確認します。
ここで注意するのは、キズとクラックの見極めです。
クラックとは石に入ったヒビの事で、大抵の天然石に存在します。
クラックはいくら磨いても消えません。
図にするとこんな感じです。
砥石で磨き終わった状態です。
細かい傷だらけで白っぽく見えます。
マクロ撮影で拡大してみると傷だらけなのがよくわかります。
STEP3:150番の耐水紙やすりで磨く
次は耐水紙やすりで磨いていきます。
目の粗い紙やすりから初めて、細かいものへと移っていきます。
人によっては100番から初めて、300、500、700、1000、1500、2000・・・
と、丁寧に磨いていく方もいます。・・・というか、それが正攻法です。
私の場合は、紙やすりをあまり消費したくない派(ケチともいう)なので、節約式の磨き方を紹介します。
使う紙やすりは、150番、400番、1000番。
5cm×8cmの紙片をそれぞれ1枚だけです。
まずは150番の紙やすりで磨きます。
石に水をつけながら、力を入れずに優しく磨きます。
石は固いので、すぐに紙やすりのザラザラ感がなくなります。
そうなったら、紙やすりを砥石の上に乗せ、力を入れて押し付けるようにして磨いていきます。
磨いていると紙やすりが白く濁りますが、これは細かい石の粒です。
これが研磨剤になりますので、白い濁りは洗い流さずにそのまま磨きます。
仕上がりの確認は、光を反射させて、光沢が均一になっている事で確認します。
一部だけ曇っているようならば、その部分の磨きが足りないという事です。
150番で磨き終わった状態です。
写真だとわかりにくですが、肉眼で見えるキズだらけです。
STEP4:400番の紙やすりで磨く
400番の紙やすりで磨いていきます。
やり方は150番同様、初めは優しく磨いて、ザラザラがなくなったら力を入れて磨いていきます。
仕上がりの確認も同様に、光を反射させて確認します。
400番で磨き終わった状態です。
白っぽさが無くなりました。
写真が暗くてわかりにくいですね・・・
蛍光灯の反射をみると、磨き具合がわかりやすいです。
この段階では、ぼんやりと反射してます。
磨いていくと、どんどんシャープになります。
マクロ撮影すると、細かいキズだらけなのがわかります。
STEP5:1000番の紙やすりで磨く
1000番の紙やすりで磨いていきます。
磨き方、仕上がりの確認の仕方は同じです。
パッと見た感じではキズは無くなりました。
蛍光灯の反射がシャープになっているのがわかります。
マクロ撮影すると、まだ細かい傷で覆われているのがわかります。
STEP6:粗目の研磨剤で磨く
粒子の粗い研磨剤を、布につけて磨いていきます。
研磨剤は金属用でも、プラスチック用でもかまいません。
私はタミヤのプラスチック用コンパウンド(粗目)を愛用しています。
1000番で磨いたときよりもかなり綺麗になっているのですが、写真だと違いがよくわかりませんね・・・
蛍光灯の反射は、蛍光灯がリング状なのがわかるようになりました。
拡大すると、細かい傷は減りましたが、結構大きいキズが目立ちます・・・
400番の磨きが甘かったかもしれません。
STEP7:セリウムで磨く
最後はセリウムで磨きます。
石磨きの仕上げに関しては、セリウムに勝る研磨剤は無いと思います。
普通の研磨剤は、目に見えないほど微細なキズをつけながら研磨していくのですが、セリウムは、珪質を溶かしながら磨いていきます。
(どういう化学反応が起きているのかは調べてもよくわかりません・・・)
石英系の石には抜群の効果を発揮します。
ガラス用研磨剤として、「ガラセリウム」という商品名でホームセンターなどでも売られています。
1000円くらいしますが、一生分の量はあるので、安いものです。
マイクロファイバータオルを水で湿らせ、そこに少量のセリウムをつけて磨きます。
力を入れて磨くよりも、長い時間こすっている方が効果的なようです。
セリウムは無臭なので、ながら作業でも気になりません。
映画を見ながら磨いていると、エンディングを迎えた頃にはすごい輝きになっていたりします。
ツルツルテカテカです。濡れているようにも見えますが、完全に乾いた状態です。
蛍光灯の反射もシャープです。
うしろの汚い消しゴムは気にしないでください。ツルツルで滑るので消しゴムじゃないと立たなかったのです。
拡大すると、細かい傷が溶けて無くなっているのがよくわかります。
大きめのキズが残ってるのは、早い段階での研磨が甘かった証拠です。
それでもセリウムが溶かしてくれるので、それほど目立ちません。セリウム恐るべし・・・
あいにくの曇り空ですが、窓の外を反射させてみました。
空の色と電線が確認できるレベルならば上出来ではないでしょうか。