日光の女峰山に登ってきました。
目的は探鳥と、コウシンソウという食虫植物です。
コウシンソウは世界中で栃木県のごく一部でしか見られない日本固有の食虫植物です。
なぜ地元民でもないのにそんな貴重な花の咲いている場所を知っているのかというと、大昔、鳥を探して山の中をウロウロしていたら、偶然見つけてしまったのですね。
石好き(=崖好き)というのも幸いしました。
垂直の崖にひっそりと咲く花なので、崖を眺める趣味でもないと見つかりません。
多肉を始めて、植物にも興味が出てきた事ですし、久しぶりに見に行ってみようと思いました。
前回訪れたのが2008年なので、実に14年ぶりです。
山を登り始めて間もなく、暗い森の中でスポットライトを浴びるようにクリンソウが咲いていました。
なかなか派手な花ですね。
鳥は、オオルリ、キビタキ、マミジロ、ジュウイチ(声のみ)等々、たくさんの鳥に会う事ができました。
特にオオルリがたくさんいて、美声を響かせていました。
近くにも留まってくれましたが、光が強すぎて影ができてしまい、綺麗に撮らせてもらえませんでした。
目線の高さで、スッキリした場所なんですが、影が・・・。
崖の上から撮影。
オオルリは高い所に留まる事が多いので、オオルリを見下ろすというのは貴重な経験でした。
あ、撮ってるのがバレてしまったようです。
女峰山の中腹に名もない滝がありました。(調べてもわかりませんでした)
前日の夕方に降った大雨で一時的にできた滝かもしれません。
望遠撮影。
豪雨の後なら、この川幅いっぱいの滝になりそうです。
高さもありますし、滝壺の形もカッコイイので、相当見応えのある滝になりそうです。
危険な場所も多いので、豪雨の後にこんなとこまで来れませんけど。
上空にはアマツバメ。
三日月型の翼を持つ、飛ぶ事に特化した鳥です。
食事や給水はもちろん、寝る時も飛んだままで、一生のほとんどを飛んで過ごすと言われています。
翼が長すぎるうえに足が貧弱でジャンプができず、地面に降りると二度と飛び立てないそうです。
どうしても休憩したい時は、垂直の崖に足を引っかけて休みます。
14年ぶりに訪れたお山は所々崩れて地形が微妙に変わっておりました。
14年の間には、震災や超大型台風による豪雨もありましたもんね。
肝心のコウシンソウですが、かなり迷った末、なんとか見つける事ができました。
こちらがそのコウシンソウです。
いや、小さすぎて見えませんね。
白っぽい花が2輪咲いてます。
だいたい垂直の崖の中腹に生えているんです。
双眼鏡でなんとか確認できる位置でしたが、見つけたときは嬉しかったです。
この後、目線の高さに生えているコウシンソウも見つける事ができました。
過酷な場所に似つかわしくない、なんとも可憐な花です。
下から撮影。
コウシンソウは二股に分かれて咲く事が多いみたいですが、これは三股ですね。
葉には小虫がたくさん張り付いていました。
たくさん虫が捕れたので三股になったんですかねぇ。
こちらは別株。
基本は二股みたいです。
花の入り口に黄色い模様があります。
虫を誘引するためのものでしょうか。
虫喰うくせに、受粉は虫に頼るって、ちゃっかりしてますね。
なんちゃってマクロ撮影セットも持ってきたので、マクロ撮影してみました。
藤色から白へのグラデーションがとても上品です。
形も独特で、サギの顔のようにも見えますね、このお花。
葉の表面には粘着液の粒がびっしりついています。
粘着性を確かめたい衝動に駆られましたが、もちろんアンタッチャブルです。
花茎も粘着液でビッシリです。
モウセンゴケみたいですね。
マクロ撮影で遊んでいるうちに、新たな虫が三股さんの餌食になっておりました。
なんか透明感のあるえらい綺麗な羽虫ですね。
次の世代への貴重な栄養源となってくだされ。
コウシンソウは小さな群落を作っている場所もいくつかありました。
14年前よりは数は減っていましたが、着実に世代を重ねているようで一安心です。
無事にコウシンソウも見つかり、ホクホクしながら下山してまいりましたが、歓迎しかねるお客さんがくっついてきておりました。
ヤマビルー。
ズボンにくっついてました。
幸いな事に、血は吸われていませんでした。
ヤマビルは気持ち悪いですが、その生態や吸血に特化した性能は驚くべきものがあり、畏敬の念すら抱きます。
意外と清潔で、病気を媒介する事もないんですよ。
そういえば、なんちゃってマクロ撮影セットを持ってきていたので、ドアップで撮ってみました。
ドアップにするとカッコイイです。カッコイイですよね?
目がちゃんとありますねー。
余談ですが、最近、ヤマビルは木から落ちてくる事は無いみたいな事が言われていますが、不十分な実験を基にした一方的な決めつけだと思います。
実際、ヤマビルが手の甲に落ちてきた経験があります。
手の甲に軽い衝撃と冷たさを感じ、鳥に糞でも落とされたのかと見てみると、ヤマビルがいてビックリしました。
木から落ちてきたのか、高い草を伝って伸びてきたのかは定かではありませんが、足元から登ってくるだけが全てではありません。
今まで森の中を何千kmも歩いてきて、1度だけの経験です。
数時間定点観測して落ちてこないから間違いだとするのは、あまりにも短絡的だと思います。