石と多肉植物

多肉植物の育成・実生、天然石とのアレンジを紹介しています。

斑入りグリーンネックレスの育て方【夏越し編】

f:id:haworthii:20190903204648j:plain

斑入りグリーンネックレスを無事に夏越しさせる事ができました。

育てている地域は、暑さの厳しい関東の平野部です。

右の鉢のグリーンネックレスは、左の鉢から挿し木したものです。

葉の数を梅雨入り前と比べると、左の鉢は3割減、右の鉢は倍増しました。

 

夏越しする事ができた育て方をまとめておこうと思います。

一般的に言われている夏越しの方法とはかけ離れている部分もあり、

この育て方が正しいというわけでありません。

1つの例として参考にしていただければ幸いです。

 

【置き場所】

置き場所は、風通しが良く、雨の当たらない屋外が良いです。

雨に当てない理由は、水分管理が難しくなるからです。

室温32℃以下を保てるなら、日当たりの良い室内でも良いと思います。

 

【水やりの頻度】

断水せず、土の表面が乾いたら水を与えます。

2日~5日に1度程度です。

 

斑入りグリーンネックレスは、水切れに敏感で、水が不足すると、まず葉緑体の無い白い葉からしぼんで枯れていきます。

次に、傷ついた葉や葉緑体の少ない葉が枯れ、最後に緑の多い葉にシワが寄って耐えるという段階を踏むようです。

断水すると、緑の多い葉だけが残り、スカスカで先祖返りしたような状態になってしまいます。

グリーンネックレスの原産国のナミビアでは、夏が雨期にあたります。

夏に水を与えた方が、自然に近い状態と言えます。

ただし、日本の夏は湿度が高いので、蒸れ対策が必要になります。

 

【水やりの仕方】

水やりは高温になる昼間は避けて、日が沈んでから与えます。

与える水の量は、土全体が軽く湿る程度の量にします。

与える水は、できれば気温より10℃くらい低い冷水がいいです。

水挿しに氷を1つ2つ入れればOKです。

冷水にする理由は、根腐れ対策です。

昼の間に温まった鉢に少量の水を与えると、地熱を奪って水温が上がってしまいます。

温度上昇分を考えて、冷やしておくというわけです。

 

【蒸れ対策】

土が湿っている状態で、鉢の温度が上がらないよう徹底します。

水は、比熱が大きく、熱伝導率が高い物質です。

比熱と熱伝導率について語ると長くなるので省きますが、要は、水は温まりやすく、大量の熱エネルギーを溜め込むということです。

土が湿っている状態で鉢の温度が上がると、その特性から土全体が高温になり、根に深刻なダメージを与えます。

これがいわゆる「蒸れ」の正体の一つだと思っています。

葉が蒸れるのではなく、根が蒸れるのです。

その為、断水しない場合には鉢の温度対策が必要になります。

対策の例として、下記の方法が考えられます。

・二重鉢にする

・鉢にアルミホイルを巻く

・鉢の側面に日が当たらないような配置にする

・白い石や白い化粧砂を敷く

・水やり後はエアコン付きの室内に取り込む

 

【遮光】

75%程度の遮光が必要です。

斑入りグリーンネックレスは直射日光に弱いです。

色素の無い斑の部分はUV耐性が低く、わずかな時間でも直射日光に当たると葉焼けを起こしてしまいます。

葉焼けをおこすと、白もしくは茶色に変色し、凹みができます。一見、虫食いのようにも見え、葉焼けに見えないのが厄介です。

f:id:haworthii:20190726192735j:plain

写真を見てもわかる通り、白い斑の部分だけやられます。

葉焼けした葉は元に戻ることは無く、枯れ落ちてしまうことが多いです。

全体的に葉焼けをおこすと、消滅しかねません。

グリーンネックレスは育つのに、同じ環境の斑入りはスカスカという場合は、強光によるダメージの可能性があります。

 

【光量】

斑入りグリーンネックレス葉緑体が少ないので、グリーンネックレスよりも多くの光が必要だと思われます。

見た目では緑色の部分が半分以下なので、単純に考えると2倍の光が必要です。

ところが、前記したとおり、斑入りグリーンネックレスは直射日光に弱いのです。

このあたりが、斑入りの難しさの一因かと思います。

強い光は避けつつ、光量を確保する必要があります。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

以上が、夏越しする事ができた育て方です。

次に、育てていて気づいた事を書き留めておきます。

多肉植物は無口で我慢強いものが多いですが、斑入りグリーンネックレスは雄弁で、調子が悪いとすぐに変化が現れます。

SOSサインを見逃さず、早めに対処してあげるのが良いと思います。

 

・全斑の白い葉が枯れても、気にしなくて大丈夫

夏になり気温が上がってくると、全斑の白い葉はしぼんで枯れてしまいます。

f:id:haworthii:20190608131301j:plain

葉が枯れると焦ってしまいますが、それほど気にしなくても大丈夫です。

光合成のできない全斑の葉は、植物にとっては不良品であり、お荷物的存在です。

環境が悪くなり余裕が無くなると、すぐに切り捨てられてしまうようです。

 

・葉がピンクがかったら要注意

新芽がピンク色なのは問題ありませんが、成長した葉が夏にピンク色に変わったら要注意です。

水か肥料か光量が足りていないのです。

下の写真は、挿し木した後、しばらく根が張らなかったツルの写真です。

f:id:haworthii:20190902200800j:plain

真ん中のツルだけ根が張れていない状態です。

ピンクがかって、ツヤがありません。

その後、根が張ったのを確認してから薄い液肥を与えたところ、ピンク色は消え、色ツヤが良くなりました。

f:id:haworthii:20190902200846j:plain

葉がピンク色に変わる時は、調子が悪いのだと考えていいと思います。

 

・葉が急激にしぼんで枯れる時は経過観察

葉が急激にしぼんで枯れることがありますが、あまり気にしなくて大丈夫です。

f:id:haworthii:20190902203147j:plain

斑入りグリーンネックレスに限らず、多肉植物にはよくある現象です。

葉の水分や養分を再利用するために、本体に吸収しているので急激にしぼむのでしょう。

しぼんでいる途中の葉を引っ張ってもなかなか取れません。

「まだ吸収してる最中だから、勝手に取るな」ということでしょう。

見栄えが悪くとも、軽く引っ張って取れない枯れ葉は放置しておいた方がいいです。

ただし、このような葉が大量に発生するなら水不足か日照不足の可能性があります。

 

・葉の色が濃くなりブヨブヨになるのは危険な状態

同じ枯れるでも、色が濃くなってブヨブヨになるのは要注意です。

f:id:haworthii:20190902203339j:plain

何らかの影響で、葉に深刻なダメージを受けたのだと思います。

日の当たらない影になった葉で発生することが多く、日照不足が主な原因ではないかと思っています。

この葉は引っ張ると簡単に取れます。早々に本体から切り離されているのです。

放置すると雑菌が繁殖するので、見つけ次第取り除いた方がいいです。

この状態の葉がいくつも発生するようなら、早急に原因を突き止めて対策する必要があります。

 

・50%の遮光でも葉焼けが発生する

天気の良い日は50%の遮光でも葉焼けが発生しました。

75%程度の遮光で、葉焼けを防ぐ事ができました。

 

・最高気温35℃を超えるようになると新葉が育たない

断水せずに水を与えていると、夏でもちょくちょく新葉が出てきます。

ところが、最高気温が35℃を超えるようになると、新葉が育たずにすぐに枯れるようになりました。

35℃を超えるような時間帯は、可能ならばエアコン付きの室内に避難させた方が良いです。