石と多肉植物

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パピラケアの実生の仕方:まとめ

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今までにもパピラケアの実生のやり方については記事にしてきましたが、独自色が強くてあまり参考にはならないと思いますので、常識的な実生の仕方を踏まえたパピラケアの実生方法をまとめておこうと思います。

※この記事は随時更新の予定です

 

 

種蒔きの時期

春(3月~6月)と秋(9月~10月)が適しています。

温室などで暖かい環境が保てるのであれば、いつ蒔いても大丈夫です。

 

お勧めは春蒔きです。

冬は成長が鈍りますので、春に蒔いて、ある程度大きく育ててから冬越しさせると、生存率が高くなります。

 

低温時では、最低気温7℃、最高気温15℃での発芽を確認しています。

高温時は、32℃での発芽を確認しています。

 

1.鉢を用意する

フタを被せる事が出来る鉢を用意します。

土の乾きにくいプラスチック製がお勧めです。

腰水管理する場合は、100円ショップで売られている「レンジ蒸し器」が使いやすいようです。

 

鉢は浅くても大丈夫です。

パピラケアは根が貧弱なので、土の深さは2cmもあれば育ちます。

ただし、土の量が少ないと乾きやすくなるので、ある程度深さのある鉢を使った方が管理が楽になります。

 

2.土を用意する

パピラケアの種子は小さいので、土も粒の細かい物を使います。

粒の粗い土を使うと、種子が土の隙間に落ち込んでしまいます。

深く落ち込んだ種子は発芽する可能性が低くなります。

市販の種まき用の用土を使う場合でも、表土は細かい土で覆うようにします。

赤玉土細粒や、バーミキュライトを振るいがけした物を使うのが一般的なようです。

 

発芽するのに肥料分は必要ありません。

肥料分はリスクにしかなりませんので、発芽率を上げたいのであれば、肥料分の無い用土をお勧めします。

※発芽後の成長には肥料分は必須ですので、追肥や肥料分を含む用土への植え替えが必要となります。

 

肥料分のある土を底に敷き、上部だけ無肥料の土を使う方法が今の主流のようです。

 

3.用土の消毒

発芽に失敗する最大の要因は、カビの発生です。

その為、発芽率を上げるには、用土の消毒はした方が良いです。

熱湯消毒か、電子レンジでの加熱がお勧めです。

 

4.種子の消毒

種子もできれば消毒した方がいいのですが、パピラケアの種子は皮が非常に薄いので、薬剤が浸透して薬害がでる恐れがあります。

私は、消毒せずに蒔いています。

 

5.殺菌剤・防カビ剤の散布

カビの予防の為に、用土に殺菌剤や防カビ剤を散布する方も多いです。

園芸用の薬剤なら問題無いとは思いますが、前述のとおり薬害が出る恐れもあります。

私は、薬剤は使っていません。

 

6.用土を湿らせる

種子を蒔く前に、用土を湿らせます。

土の表面が水分でテラテラ光るくらい、しっかりと湿らせます。

 

7.種を蒔く

用土の上に乗せるようにして種を蒔きます。

土を被せてはいけません。

種子が一ヶ所に固まらないよう、まんべんなく蒔くようにします。

種子は濡れた爪楊枝に吸い付くので、1粒ずつ蒔く場合は、爪楊枝を使うと便利です。

 

8.種蒔き後の管理

フタをして、直射日光の当たらない明るい場所に置きます。

フタからカビの胞子が落ちる事があるので、フタの内側も消毒しておきます。

パピラケアの場合は、遅くとも4日以内には発芽すると思います。

 

8.1.発芽しなかったら

発芽しない原因は環境により様々なので一概には言えませんが、一番多い原因は湿らせ方が足りない事であるように思います。

前述のとおり、用土の表面が水でテラテラ光るくらい湿らせてしまって大丈夫です。

パピラケアの発芽に重要なのは、湿度よりも種子が水に触れている事だと思います。

4日以上経っても1つも発芽しないような場合には、腰水の水位を上げてみてください。

ただし、発芽した後は水が多すぎると根が腐る事があるので、水位を下げてください。

 

種子がカビない限りは発芽の可能性は残っているので、どうしても発芽しないようであれば、あきらめる前に水没するギリギリくらいまでポッドを水に沈めてみるのもお勧めです。

 

 

9.発芽後の管理

芽が出そろったら、フタを外します。

フタをしたまま高温高湿の状態が続くと、芽が透明になり、溶けてしまうことがあります。

フタを外しても、用土は乾かないように注意します。

腰水管理ならば乾く心配が無く、管理が楽だと思います。

 

直射日光の当たらない明るい場所に置きます。

直射日光に当てると芽が赤くなり、最悪の場合、枯れてしまいます。

少なくとも白いウロコに覆われるまでは、直射日光に当ててはいけません。

 

10.肥料について

発芽に肥料は必要ありませんが、発芽後は必要になります。

肥料分がないと、大きくなりません。

肥料はドーピング薬ではなく、体を作る材料です。

成長する上で、最低限の肥料分は絶対に必要です。

ただし、肥料分が多すぎると枯れる原因になります。

 

パピラケアは成長が遅いので、肥料分は本当に微量で大丈夫です。

発芽後2週間を目途に、薄い液肥をごく少量与えます。

私の場合は、4000倍希釈ハイポネックスを、各株にスポイトで2滴ずつ滴下しています。

その後は、1ヶ月に1回を目安に、同様に薄い液肥を与えます。

冬になって成長が止まったら、肥料を与える必要はありません。

 

翌春の3月~4月に、植え替えをお勧めします。

この時に、肥料分のある土を底に入れると成長が良くなります。

 

11.カビが生えてしまったら

白や黒の綿のようなカビに覆われてしまったら、その苗はもう助かりません。

放置すると被害が拡大するので、早急に処分します。

カビの菌糸は土の中にも侵入していますので、周りの土ごと処分します。

思い切って広範囲を処分しないと、菌糸が残り、再発する恐れがあります。

早期発見、早期対処で、被害を最小限に抑える事が大事です。

 

水のミネラル分が凝固し、白いカビのように見えることがあります。

こちらは放置しても問題ありませんので、カビと勘違いして苗を処分してしまわないようにしましょう。

 

12.日光に当てるタイミング

ある程度育ってきたら、日光にしっかり当てて育てます。

日光に当てるタイミングについては、現在試行錯誤中です。

環境によって育ち方も違いますので一概には言えませんが、2年目の春(種を蒔いた翌春)に、肥料分のある土に植え替えたタイミングで、日光に当てるのがベストではないかと思っています。